農業における栄養素「モリブデン」の重要性

より高い収量と持続可能な農業を追求する上で、微量栄養素は、土壌中の存在量はごくわずかであるにもかかわらず、しばしば大きな役割を果たします。そのような必須微量栄養素の一つがモリブデン（Mo）であり、農作物の最適な生育と生産性に不可欠です。植物は、モリブデンをMoO₄-²という陰イオンとして取り込みます。

なぜモリブデンは重要なのか

モリブデンは、窒素代謝に不可欠ないくつかの植物酵素、特に硝酸還元酵素とニトロゲナーゼの主要成分です。これらの酵素は、植物が硝酸塩を利用可能な窒素の形態に変換することを可能にし、マメ科植物では根粒菌との共生関係を通じて生物学的窒素固定を促進します。

十分なモリブデンが無いと、植物は窒素の効率的な利用に苦戦し、生育不良、葉のクロロシス、収量の低下といった症状を引き起こします。これは、大豆、アルファルファ、アブラナ、カリフラワーなど、モリブデン要求量の高い作物において特に重要です。マメ科の作物は特にモリブデンを多く必要とする作物で、根粒に窒素を固定するために多くのモリブデンを必要とするからです。

土壌と作物の管理

モリブデンの可給性はpHに大きく依存します。モリブデンは土壌のpHが高くなるにつれて利用しやすくなりますが、これは他の微量栄養素のほとんどとは逆の現象です。酸性土壌（pH＜5.5）では、土壌中のモリブデン陰イオンが鉄やアルミニウムの酸化物に最大に吸着されるため、モリブデンの吸収が制限されることが多くなります。このため、土壌のpH管理とモリブデン施肥が不可欠な戦略となるのです。モリブデンを強化した肥料や葉面散布を行うことで、欠乏症を改善し、特に敏感な生育ステージにおいて作物のパフォーマンスを向上させることができます。

モリブデンの欠乏症状

モリブデンが欠乏することは比較的稀ですが、特に酸性土壌では非常に悪い影響を及ぼします。モリブデンは移動性の高い栄養素であるため、生長部分に移動し、古い葉に欠乏症状が残ります。

一般的な症状は以下の通り：

• 葉脈間クロロシス（葉脈間が黄色くなる）、特に古い葉で顕著
• 生育不良と葉の大きさの減少
• 葉縁の焦げや内側に巻き込んでカップ状になる
• マメ科植物における莢や花の発育不良
• カリフラワーにおける鞭状葉（葉が歪み、幅が狭くなる）
• 根粒形成機能の低下によるマメ科植物の窒素固定量の減少

これらの症状は窒素欠乏症に似ていることが多く、正確な診断が不可欠です。

作物のモリブデン供給源

欠乏症を予防・改善するために、モリブデンは無機物（モリブデン酸塩）として供給されます。モリブデン酸塩は、モリブデン入りのNPK肥料であったり、マメ科植物用の種子処理剤に配合して早期の根粒形成を促進したり、酸性土壌では石灰と組み合わせて利用率を高めたりすることができます。

ICLの栄養バランスへの取り組み

ICLグローイング・ソリューションズでは、バランスの取れた植物栄養がストレスに強く、生産性の高い農業の基礎であることを理解しています。当社の革新的な製品は、モリブデンのような必須微量栄養素を、多様な土壌条件下で容易に利用でき、効果的な形で供給できるように設計されています。

植物は、養分として必要な窒素を処理するためにモリブデンを必要とします。Agroleaf® Liquid MolyComplex（国内取扱い無し）は、植物にモリブデンを供給します。 Agroleaf® Liquid MolyComplexは、葉面散布と株元施用の両方に使用できるように開発されており、多量のモリブデンを必要とする植物の栄養補給剤として、欠乏症を予防・改善します。

モリブデンを含む他のICLの肥料は次の通り： Agrolution Liquid ME-5（ 国内取扱い無し）、M-6（国内取扱い無し）、Agroleaf® Liquid MolyB（国内取扱い無し）。

ICLのバイオスティミュラントの新シリーズ、BIOZにはモリブデンが配合されています： ネフライト、トパーズ、サンストーン、オニキス アニュアル、オニキス パーマネント、ムーンストーンにはモリブデンが含まれており、これらの製品に配合されている中心的な栄養素です。

モリブデンを作物の栄養プログラムに組み込むことで、植物の健全な発育をサポートするだけでなく、窒素肥料の効率を最大限に高め、収量と持続可能性の両方を高めることができます。