トウモロコシにおける窒素利用効率
トウモロコシにおける窒素の効率的利用、植物栄養学的および生理学的側面
はじめに
トウモロコシは世界中で経済的・社会的に重要な作物です。ブラジルでは作付面積第2位の作物にもかかわらず、米国など他国と比較すると平均単収が低いのです。
作物の収量に直接影響する要因のひとつに、窒素(N)の管理があります(BERTASELLO, 2020)。
窒素は、タンパク質やクロロフィルの生合成に直接関与するため、植物の代謝において基本的な役割を果たします。しかし、ブラジルのほとんどの土壌では、作物への可給性が不十分な栄養素であり、トウモロコシは土壌から大量の窒素を吸収します。したがって、土壌からの供給量を補うための窒素施肥が不可欠になります(Coelho, 2008; Kappes et al.)。
窒素管理は困難で複雑な作業です。窒素の利用効率を高めるために、さまざまな方法が個別に、あるいは組み合わせて用いられてきました(Sharma & Bali, 2018)。
一般的に、窒素の利用効率を向上させるために採用される戦略は、作物が施用された窒素を最大限利用できるようにすることであり、その結果、養分の吸収を高め、環境への損失を減らし、環境の持続可能性と生産者の経済的利益をもたらすことです(Sharma & Bali, 2018)。
この意味で、硫黄被覆尿素であるPolyblen®テクノロジー*は、窒素が緩やかに溶出し、揮発や流亡による損失を低減し、この養分の効率的な利用を促進します。作物が必要とする時に養分を供給し、根系の発達を促進し、ストレスへの耐性を高めます。
モリブデン(Mo)は、補酵素として、ニトロゲナーゼ、硝酸レダクターゼ、アルデヒドオキシダーゼ、硫酸オキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼという植物の代謝におけるさまざまな反応に関与し、生化学反応における電子伝達反応を担います (Malavolta, 2006)。窒素の同化に非常に重要です。
Moに加え、BIOZネフライトには、生物的・非生物的ストレスによって生じるフリーラジカルの増加に対抗するための栄養素と植物成長ホルモン前駆体が配合されています。エネルギーを供給し、植物のホルモンバランスの改善に役立ちます。
試験方法
試験は ウベルランディアで実施され、2022 年産トウモロコシを 2 月 13 日に播種しました。ケッペン分類によるサバナ気候の地域(南緯18°58’25”, 西経48°07’23”, 標高937m)で、5反復全区ランダム配置の圃場条件下で実施されました。
表1. 試験で使用した処理区、施用量および製品
処理区 | 窒素施用量 kg/ha |
---|---|
1 | 0 |
2 | 65 kg (Polyblen®) |
3 | 130 kg (Polyblen®) |
4 | 65 kg (Polyblen®) + CoMo材 (65 g/ha モリブデン酸ナトリウム由来) |
5 | 65 kg (Polyblen®) + BIOZネフライト (65 g/ha BIOZネフライト由来のモリブデン) |
結果
表 2. 窒素施用量に関する結果
表 3. BIOZネフライト使用に関する結果
結論
ウベルランディア地域の裏作トウモロコシは、130 kg/haの窒素を土壌に施用することで、その潜在的な生産性を最大限に発揮できることが示されました。
Moの供給源として BIOZネフライト を使用した結果、収量が大幅に増加しました(18 俵/ha)。 これは、本製品が他の栄養素や植物成長ホルモン前駆体の供給源となり、植物の代謝能力を向上させたためと考えられます。
訳注:
*国内での取り扱いはありません。肥効調節型尿素という点で、「アグロコート」と同等と考えてよいでしょう。
参考文献:
de milho cultivados sob adubação nitrogenada e inoculação com Azospirillum brasilense. Revista Agroecossistemas, v. 12, n. 2, p. 69, 9 fev. 2021
KAPPES, C. et al. Inoculação de sementes com bactéria diazotrófica e aplicação de nitrogênio
em cobertura e foliar em milho. Semina: Ciências Agrárias, v. 34, n. 2, p. 527–538, 17 maio 2013.
MALAVOLTA, E. Manual de nutrição mineral de plantas. São Paulo, Ed. Agronômica Ceres. 638p., 2006
SHARMA, L. K., & BALI, S. K. A review of methods to improve nitrogen use efficiency
in agriculture. Sustainability, 10(1), 5, 2018.