灌水同時施肥の基礎知識

灌水同時施肥による正確な養分供給で、潜在的な作物の収量を向上させ、肥料の使用量を削減

12月 14, 2024
2 分

灌水同時施肥(ファーティゲーション)を行うことで、作物の養分要求に応じて非常に正確に肥料を供給することが可能になります。これには2つの利点があります。1つ目は、必要なタイミングで適切な量の養分を供給することで、作物の収量を最大化できる点です。2つ目は、流亡や揮発による損失が減るため、施用する養分の量を減らすことができるという点です。最大限の成果を得るためには、生産者は灌漑サイクル全体を通じて水溶性肥料(WSF)を一貫して使用することが重要です。

 

パラメーターの考慮

生産者は灌水同時施肥プログラムを設計する前に、以下のパラメーターを考慮する必要があります。

  • 土壌:土壌分析は灌水同時施肥プランを決定する上で重要な要素です。土壌中の養分レベルを把握することで、生産者は施肥プランを調整(栄養素の追加または削減)することができます。土壌のpHを把握することで、植物の根が吸収可能な栄養素の量を予測することができます。土壌分析は施肥計画を決定する上での重要な要素です。
  • 水質:水質分析は、生産者が灌漑水に含まれる栄養素を把握する上で重要です。水に含まれる一般的な栄養素は、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、塩素(Cl)があります。生産者は水のpH値を把握することで、その条件に最適な施肥の処方(配合)を選ぶことができます。例えば、水のpH値と重炭酸塩の値が高い場合、酸性化効果のある肥料を選んで重炭酸塩を中和し、水のpHを下げる必要があります。
  • 作物の要求:生育サイクルにおけるさまざまな作物の栄養素の要求量を理解することで、生産者は正確な施肥プランを作成し、最適な収量を得ることができます。

 

成功の鍵となる変数

作物を適切に育てるためには、多くの変数を考慮する必要があります。気候条件(温度、湿度、照度など)やpH、土壌の栄養状態に加え、作物の灌漑に使用する水質も重要な要素です。灌漑用水の品質には、栄養レベル、pH、塩分(伝導度:ECとして表される)、重炭酸塩が含まれます。

 

栄養素レベル

植物は灌漑用水を通じて、多量要素および微量要素を吸収します。これらの栄養素のレベルと植物の必要量が分かれば、最適な肥料の量を決定でき、過剰施肥を避けることができます。

 

pH

pH値は土壌や水の酸性度を表すもので、0から14までの対数尺度で表されます。0は強酸性、14は強アルカリ性、7は中性です。各作物には、成長と調和の取れた発育のために適したpH値があります。灌漑用水のpHは、作物が育つ土壌のpHと同様に重要です。多くの作物は、pH5.5~6.5の環境で成長し、よく育ちます。ここで重要なのは、pHが植物の成長と発育に必要な栄養素の吸収に直接影響を与えるということです。 pH値が高い場合(7~7.5以上)、植物によるリン、鉄、ホウ素、銅、亜鉛の吸収が阻害され、植物に必要な栄養素を施肥していても、欠乏症が生じることがあります。これらのパラメーターが不明な場合、肥料の量を増やして根の周辺の塩分濃度(EC)を高めようとしてしまうことがあります。これにより、可溶性塩類の増加で根の周辺で浸透圧が高まり、水や栄養素の吸収が減少するなどの不均衡を引き起こします。

 

水の硬度

水の硬度は水質を決定する重要な要素です。カルシウム(Ca)とマグネシウム(Mg)は水の硬度に大きな影響を与えます。生産者は水を分析してpHを正確に確認する必要があります。

 

EC:電気伝導率

ECはmS/cmで表される数値です。一般的に、植物に使用される養液のEC(灌漑水のECと水溶性肥料のECの合計)は2~2.2を超えてはなりません。これは土耕栽培に推奨されるECです。水溶性肥料は基本的に塩類であり、水に溶解すると塩分濃度が上昇します。この値は1リットルあたりのグラム数で表され、通常はパッケージに記載されています。