秋~春長期採りトマト
ハウス土耕灌水同時施肥プログラム
温暖な熊本県の海沿いの平野部では、秋~春長期採りハウス土耕トマトが盛んに栽培されています。点滴灌水チューブ/テープが広く普及し、より厳密な水管理と供に、養分を日々供給する、灌水同時施肥が作物の養水分需要を満たす方法として実践されています。利用できる原水は、概ね軟水であり、カルシウムやマグネシウムの金属イオンをあまり含まないということです。このような条件下で、灌水同時施肥における養分管理方法を以下に詳述します。
指標とする収量水準と窒素需要量
1株あたり10aあたり1日あたりの目標窒素量から施肥量を算出する前に、指標とする収量水準を確認します。品種にもよりますが、トマトの収量1トンに対し必要な窒素量は概ね2.5kgです。例えば、10aあたり40トンの収量を見込む場合、100kg/10aの窒素が必要になるということです。これを栽培期間300日で除すると、平均333g/10a/日の窒素が必要になるという単純計算になります。そして、栽植密度が2,400株/10aである時、139mg/株/日の窒素が必要になるということです。この時点で、まだ生育ステージは考慮していません。
生育ステージを考慮した10aあたりの施肥量
生育ステージと適正なNPK比率を考慮し、当社製品を用い達成しようとすると、以下のような施肥プログラムになります。
生育ステージ | 目標窒素量/10a/日 | 適正NPK比率 | Agrolution Special 324/10a/日 | その他製品/10a/日 |
定植-第1段果房 | 100g | 1:1:1 | 700g | またはSolinure Polymarine 20-20-20+TEを500g |
第1段果房-4-5段着花 | 200g | 2:1:3 | 1400g | Nova SOPを175g足してもよい |
4-5段着花-収穫期 | 200-300g | 2:1:4 | 1,500g | Nova SOPを350g足す |
収穫期-摘芯 | 250-300g | 2:1:4 | 2,000g | Nova SOPを350g足す |
摘芯-収穫終了 | (100-)200g | 1:0:2 | - | Nutri Liquid N20 1,000ml +Nova Ferti-K 700g、またはNutri Liquid N20 1,000ml + Nova SOP 800g |
1株あたり10aあたり1日あたりの目標窒素量を算出するためには、10aあたりの栽植密度を考慮してください。1系統の灌水面積あたりから施肥量を算出する場合、その係数を乗じてください。目標窒素量は、目標収量に応じて加減し、定期的な土壌溶液採取により硝酸態窒素濃度の値を把握し修正してください。
水溶性単肥を用いたNPK比率の調整
アグロリューション・スペシャル324は、トマトの栽培に適するよう処方されています。シーズンを通して、ベースとして使用できます。特に、地温の相対的に低くくなる秋~春トマトにおいては、硝酸態窒素の割合が高い処方が適しています。しかしながら、生育ステージによって求められるNPK比率は変化します。その変化を最も安価に補正するには、水溶性硫酸加里、水溶性塩化加里、硝安水溶液を組みわせることです。また、摘芯後の最終生育ステージでは、相場の影響もあり、肥料コスト低減が求めらることにもなります。そのような場面では、水溶性配合肥料であるアグロリューション・スペシャル324を使用せず、水溶性硫酸加里、水溶性塩化加里、硝安水溶液を組み合わ、養分需要を満たしつつ、来期に向けて土壌に蓄積した養分のバランスを整えることもできます。定植直後には、海藻エキスを含有し、NKP比率1:1:1のソリニュア・ポリマリン20-20-20+TEを用い、活着の促進に努めるというのも例年相場の高い年内獲りを確かにする方策です。
製品名 | 一般名 | NPK | 特記事項 |
Agrolution Special 324 | 水溶性配合肥料 | 14-8-22+5CaO+2MgO+TE | 主に使用を想定する製品 |
Nutri Liquid N20 | 硝酸アンモニウム水溶液 | 20-0-0 | Agrolution Special 324とタンクミックス可 |
Nova SOP | 水溶性硫酸加里 | 0-0-50 | Agrolution Special 324とタンクミックス不可。硫酸と反応するため、時間差や2液式で原液を灌水システムに注入 |
Nova Ferti-K | 水溶性塩化加里 | 0-0-61 | Agrolution Special 324とタンクミックス可。原水の塩化物イオンが低い場合、土壌に蓄積していない場合 |
Solinure Polymarine 20-20-20+TE | 水溶性配合肥料 | 20-20-20+TE | Agrolution Special 324とタンクミックス不可。海藻エキス配合 |
補助的な養分供給として葉面散布を行う場合に適した製品
製品名 | 一般名 | NPK | 特記事項 |
Nutrivant Plus Tomato | 水溶性配合肥料 | 6-18-37+2MgO+TE | 葉先枯れの予防/根からの養水分吸収促進/散布間隔は2週間以上空ける |
BIOZ Moonstone | アミノ酸液肥 | 微量要素配合 | 薬害や環境変化のストレスから植物体が回復する速度の向上 |