適した水溶性加里質肥料をどのように選ぶか?
作物のカリウム要求量の増加に対し、灌水同時施肥で使用する水溶性単肥の選び方
特にハウス土耕栽培において、オールインワンの水溶性配合肥料を中心に、日々の養分管理を灌水同時施肥によって行っている生産者は多いはずです。特定の生育ステージでカリウムの需要が高まり、カリウムを補助的に追加したい場合があります。このような場合、水溶性加里質肥料を組み合わせて使うことが、安価で合理的な選択になります。水溶性加里質肥料にはそれぞれ特性があり、作物、栽培環境、生育ステージ、原水の水質、組み合わせる配合肥料に応じて、最適なものを選び、使う方法を以下に詳述します。
完全水溶性加里質肥料の種類
塩化カリウム、硫酸カリウム、硝酸カリウム、カリウム配合肥料が、主な選択肢になります。塩化カリウムは、最も費用対効果の高いカリウム供給源です。硫酸カリウムは、その次に費用対効果の高いカリウム供給源で、副成分である硫黄は塩素よりも作物が要求するため、補助的な使用においては塩類集積のリスクが低い選択肢です。硝酸カリウムは、副成分を含みませんが、費用対効果では劣ります。塩化カリウム、硫酸カリウム、硝酸カリウム等を含むカリウム配合肥料は、バランスに優れる一方で、配合コストが価格に転嫁される面で不利になります。
製品名 | 一般名 | 窒素 | 加里 | 硫黄 | 塩素 |
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Nova N-K | 硝酸カリウム | + | + | ||
Nova SOP | 硫酸カリウム | + | + | ||
Nova Ferti-K | 塩化カリウム | + | + | ||
Nova Potassium | 配合加里質肥料 | + | + | + | + |
Agrolution Special 324 | 水溶性配合肥料 | + | + |
水溶性配合肥料アグロリューション・スペシャル324との相性
アグロリューション・スペシャル324は、NPKに加え、カルシウム、マグネシウム、微量要素を含む水溶性配合肥料です。バランス良く養分を含みますが、硫黄だけは含みません。作物の硫黄需要を満たし、カリウムを補完するには、硫酸カリウムが良い選択肢になります。難点は、カルシウムと硫黄が反応・沈殿してしまうため、両者を同じ原液タンクに溶かすこと(=タンクミックス)ができないことです。アグロリューション・スペシャル324と硫酸カリウムを組み合わせる場合には、2液式にするか、別々に(時間差であったり日を変えて)原液を灌水システムに注入する必要があります。塩化カリウムと硝酸カリウムは、アグロリューション・スペシャル324とタンクミックス可能です。
栽培作物の耐塩性、使用する原水に塩素が含まれない(もしくは限りなく少ない)、除塩可能な環境であれば、塩化カリウムは、最も良い選択肢になります。詳細は、当社のアグロノミストに相談してください。
製品名 | 欧州表示成分値 | Agrolution Special 324 とのタンクミックス |
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Nova Peak | 0-52-34 | 可 |
Nova MAP | 12-61-0 | 可 |
Nova PeKacid | 0-60-20 | 要注意*1 |
Nova N-K | 13.5-0-46 | 可 |
Nova Ferti-K | 0-0-61 | 可 |
Nova Potassium | 5-0-49+21SO3 | 不可 |
Nova SOP | 0-0-50+43SO3 | 不可 |
Nova Mag-N | 11-0-0+16MgO | 可 |
Nova Calcium | 15.5-0-0+26.5CaO | 要注意*2 |
Nova Mag-S | 0-0-0+16MgO+32SO3 | 不可 |
Liquid Nitrogen | 20-0-0 | 可 |
*1 低いpHにより、キレート微量要素が不安定化するおそれ。
*2 少量であれば反応・沈殿しない。