有機JAS適合資材としてのポリサルフェイト
硫黄・加里・苦土・石灰 の4成分を含む4-in-1の天然肥料が、有機JAS規格に基づく使用可能肥料となりました。
天然鉱物ポリハライト
ポリサルフェイトは、ポリハライト(ポリハル石)の商標名で、ポリハライトは[K2Ca2Mg(SO4)4・2H2O]という化学式で表される天然鉱物です。作物に必須で、かつ収量の向上に適した栄養素である硫黄・カリ・苦土・石灰の4成分を含みます。ポリハライトを最初に発見したのはドイツの化学者、フリードリヒ・シュトロマイヤーで、1818年にオーストリアのザルツブルグで採掘されました。
ポリハライトの商業生産
現在は、イスラエルに本社を置くICLグループの100%子会社であるCleveland Potash社により、イングランド側の北海海底から採掘されています。ICLグループは世界に先駆け、この鉱物を2016年から、肥料として世界各地で販売してきました。日本では植害試験などの安全性確認を終え、肥料の規格改正によって2021年12月から肥料登録可能となっており、2022年1月に肥料登録が完了しました。
有機JAS適合資材としてのポリサルフェイト粒品
天然鉱物であることには、もう一つの利点があります。ポリサルフェイトには、粒品、細粒品、粉品の各グレードがあり、どれも鉱物を破砕し、ふるい分けされただけで、化学的処理はされていません。ポリサルフェイト粒品は、有機資材協議会により適合性の評価を終え、「有機農産物の農林規格 別表1 岩石を粉砕したもの」に適合する資材として、2023年8月に確認されました。
緩やかに溶けて運ばれる養分
ポリサルフェイトの最大の特徴は、化成肥料でも複合肥料でもなく、天然に産する鉱物として複数の栄養素を含んでいることに加え、化学的に中性なため、土壌pHを上昇させることなく作物にカルシウムを補給でき、同時にカリ・苦土も供給できることです。ポリサルフェイト粒品は、直径2~4 mmの粒状で、機械撒き特性に優れており、窒素単肥と組み合わせて施用するのに理想的な肥料です。単体で施用することも、バルクブレンドして施用することも可能です。ポリサルフェイトに含まれる硫酸カルシウムは幾分緩やかに溶けるため、栽培期間後半の硫黄と石灰の不足を予防することが期待できます。