加工用スイートコーンに対する被覆尿素の追肥効果
21.4
北海道千歳市 2019
21.4
試験の結果
- 収量性の向上 – 加工用スイートコーンの子実収量が、慣行の硫安全面表層施肥(N 8kg/10a )に対して、アグロコートMax 1-2Mの表面作状施肥による、追肥1倍処理で21.4%、追肥1.5倍処理で17.3%増収した(図1)。
- 収益性の改善 – 硫安を50円/kg、アグロコートMax 1-2Mを140円/kg、収穫物の買取価格を40円/kgと仮定すると、追肥1倍区の費用対効果が最も優れる。
- 地上部の生育促進 – 7月11日の時点で、1週間前の除草剤散布により、標準追肥区では生育が停滞していた。一方、アグロコートMax追肥区では停滞しておらず、草丈は優勢であった(図2)。窒素の供給が途切れていなかったためと考えられる。
背景と目的
アグロコートMaxは、単肥の被覆尿素である。品番により1-2M、2-3M、3-4M、4-5Mのように窒素溶出の持続期間(肥効月数)が決まっている。この肥効調節機能により、1回の追肥で複数回の硫安(硫酸アンモニウム)または尿素単体の追肥と同等の効果が得られ、省力化に資する。被覆尿素は、尿素の被覆工程のため、尿素単体より高価で、生産者はコスト増と省力化を天秤にかけることになる。しかしながら、作物と栽培体系によっては、省力化の観点のみではなく、増収効果を期待できる。この実証のために、加工用スイートコーンを試験対象作物として選定した。
北海道においては、加工用スイートコーンの栽培面積が加工品目としてジャガイモの次に位置する。販売単価が事前に決まっていることもあり、単位面積あたりの収入は高くはないが、収入の安定化、輪作体系への組込み易さから広く導入されている。また、栽培管理に必要以上に手間をかける作物ではないが、主産地土壌の性質から判断すると、増収が期待される施肥管理上の問題が残されていると思われる。草丈が一定以上になると、作業機が入れず、追肥ができない。標準的には、硫安を播種後35日に1回、8kgN/10aの追肥が行われている。尿素は肥料焼けを起こすと考えられ、尿素単体での施用は避けられる。そこで、硫安の代わりに被覆尿素を利用することで、施肥作業機の走行が困難な7~8葉期以降も窒素が継続的に供給され、生育の促進並び増収が期待されると思われる。とくに、窒素が溶脱しやすい火山性礫質土壌では、増収効果が期待できる。
試験詳細
試験地域
北海道千歳市
作物
トウモロコシ
製品
Agrocote
評価一覧
収量、草丈
処理区
加工用スイートコーンを栽培する生産者圃場で3処理区を設けて試験を行った。
- 標準追肥区:硫安全面表層施肥 N 8kg/10a (6月26日)
- 追肥1倍区:アグロコートMax 44-0-0 1-2M表面作状施肥 N 8kg/10a (6月4日)
- 追肥1.5倍区:アグロコートMax 44-0-0 1-2M表面作状施肥 N 12kg/10a (6月4日)
共通処理として、播種2019年5月18日、株間24cm、畝間100cm、基肥全区BB14-18-18+5MgO 50kg/10aを施用。
処理区
加工用スイートコーンを栽培する生産者圃場で3処理区を設けて試験を行った。
- 標準追肥区:硫安全面表層施肥 N 8kg/10a (6月26日)
- 追肥1倍区:アグロコートMax 44-0-0 1-2M表面作状施肥 N 8kg/10a (6月4日)
- 追肥1.5倍区:アグロコートMax 44-0-0 1-2M表面作状施肥 N 12kg/10a (6月4日)
共通処理として、播種2019年5月18日、株間24cm、畝間100cm、基肥全区BB14-18-18+5MgO 50kg/10aを施用。